稗田阿求のサバゲー教室その1「サバゲーってなに?」
「こんにちは」
「あら?阿求じゃない、珍しいわね」
「こんにちは、清く正しい射命丸です!」
「ああ、あんたは帰っていいわ」
「ひどいっ!?」
「あははは……」
「それで、二人して何の用?」
「いやー、阿求さんが自身も弾幕ごっこをしてみたいとおっしゃりましてね」
「阿求が?うーん、さすがにそれは難しいんじゃないかしら」
「私もそう言ったのですが、何か考えがあるようでして」
「考え?」
「はい、霊夢さん達みたいに自分で弾幕を生み出す事が出来ないので、外の世界の弾幕ごっこっぽい遊びを見つけて来たんです。
それで一緒にやってくださる人を探してたんです」
「へぇ?外にもそんな物があるのね」
「勿論、違う点は多々ありますけどね。その遊びはサバイバルゲーム、通称サバゲーと言います」
「さ、鯖芸……?」
「霊夢さん、またベタな……」
「な、何よ……」
「ま、まあ、気を取り直して、簡単にご説明しますね」
Q.サバゲーとは?
「先ほども言いましたが、正式名称はサバイバルゲームと言います。外の世界の主流武器である銃を模した玩具『エアーソフトガン』を使用して撃ち合う競技です」
「えあーそふとがん?」
「外の世界の鉄砲のおもちゃ、と認識していただければ構いません。こんなのですね。BB弾と呼ばれる小さな弾を使います」
「おお、なんかカッコいいですね!(パシャパシャ」
「まあ、これにもいろいろ種類はあるのですが、それは後ほど。先ほど、弾幕ごっこと似てると言いましたが、それはどちらも実戦を模した遊びだからです」
「弾幕ごっこは妖怪と人間の戦い、サバゲーは人間同士の戦いの擬似的な再現って事ね」
「残機制のルールもあるようですが、基本的には一発当たったらどんなに武器や体力が残っていようと負けと言う点も共通してますね」
「ふむふむ(メモ」
「しかし、もちろん相違点もあります」
「というと?」
「まず、空は飛びません」
「えー!?」
「まあ、外じゃ人間が生身で飛べないから当然ね」
「まあ、地形をいかに有効活用するか、というのも楽しみの一つらしいので」
「飛んだらどこでやっても一緒だしね」
「次に、弾幕ごっこが一対一の決闘であるのに対し、サバゲーは多数対多数で行われます」
「なるほど、個々の実力だけじゃなくてチームワークも大事だと言う事ですね。それなら我々妖怪の山の面々は有利かも」
「その通りです。大人数で楽しめるのが弾幕ごっことの違いです」
「他には?」
「弾幕ごっこには不慮の事故は覚悟しておく、という項目がありますが、これはサバゲーでは許されません。不慮の事故が起きないよう様々な決まりがあります」
「別に、弾幕ごっこだって不慮の事故を推奨してる訳じゃないけどね」
「ちなみに決まり……一般的にレギュレーションと呼ぶらしいのですが、実は統一されたものと言うのが存在しません」
「おや、そうなんですか?」
「銃の威力などは決まっているようですが、会場での禁止行為などはその場所その場所で違いがあるようです」
「それはちょっと面倒ね」
「勿論、最低限のマナーとかはありますけどね。とにかく、会場ごとにルールが違うので始める前に主催者の話はよく聞く、というのが大事です」
「人の話を聞かない文には荷が重いわね」
「そんな事はありませんよ」
「えーと……」
「そういえば大事な事を聞いてなかったわね。これって相手を全員倒せば勝ちなの?」
「勝利条件ですね。実はこれにもいろいろ種類があります。一番よくあるのがフラッグ戦と言って、相手の陣地にあるフラッグを奪えば勝ちです」
「ただの力や火力のぶつかり合いではなく、攻守のバランスを考える頭が必要なのですね」
「加えて、状況次第でそれを入れ替えたりする柔軟性も求められますね。他にも先ほど霊夢さんが言ったように相手を倒す事を目的とした殲滅戦なんかもあります」
「その方が楽でいいわね」
「なんでそこで笑顔になるんですか……」
「纏めるとサバゲーとは『エアーソフトガンでチームの仲間と共に相手を倒していき、ルールで定められた目標を達成を目指す安全第一なゲーム』と言う事ですか」
「概ね、その認識で大丈夫だと思います。詳しいルールやレギュレーションは各会場の主催者の指示を聞いてください」
「ちなみに、空を飛ぶのが許可されてる会場と言うのは……」
「ありません」
Q,サバゲーに必要な物って?
「そう言えば、私達がやるとしたら道具とか色々必要なんじゃないですか?」
「そうね、私も何も持ってないわよ」
「そもそも、何を用意したらいいか分からない訳ですが……」
「そうですね。あったらいい物を挙げたらキリがないですが、必要最低限の物は二つ。銃とゴーグルですね」
「それだけ?」
「本当に最低限ですけどね。まず銃はないと話になりませんし、ゴーグルも目に弾が当たると失明の恐れがあるので必須です」
「案外シンプルですね。前に本で見た外の兵士ってはこんな感じでしたが」
「所謂迷彩服と言うやつですね。勿論、服装にこだわる人はこういう恰好をしていますが、迷彩服を着なきゃ行けないという訳ではないんですよ」
「じゃあどんな格好でもいいの?」
「そうですねぇ。やはり撃ち合うので、汚れても大丈夫で、動きやすく、弾が当たっても痛くない服装が望ましいですね」
「ふーん(自分の服装を見る)」
「なるほど(自分の服装を見る)」
「うーん……」
「……ちょっと、露出が多いかもしれませんね。特に文さんは」
「行く時はちょっと考慮しておきます」
「さて、他に必要な物ですが銃に関係した消耗品(BB弾やガス)、それに参加費ですね」
「あ、やっぱお金掛かるんだ……」
「私有地なんかでやる時は掛からない場合もありますが、基本的には掛かると思ってください」
「ちなみにどれくらい掛かるんですか?」
「3000円前後が相場だと聞きますね。幻想郷で言うなら里の酒屋でやる宴会参加費ぐらいだと思ってください」
「そんなに極端に高くもないですね」
「あと必要なのは、ルールを守って楽しむという心意気ですね。ある意味これが一番大事な持ち物かもしれません」
その二に続く